神戸市の地下街でラジオとデジタルサイネージを連携、災害への備え

あの日から25年が経つ――。兵庫県南部を震源とする「阪神・淡路大震災」(マグニチュード7.3)により、日本国中いや世界中の人々が、都市のもろさを実感した。その後もこの世界では、地震や津波、台風、水害など自然の猛威を目の当たりにしている。

自然災害による深刻な被害が絶えない一方で、1995年1月17日の記憶(地震直後の市内の状況:神戸市アーカイブ)が日本国民の間で風化しつつある。けれども復興を遂げた、神戸市は今、世界的に注目を集めるイベントの開催を控えている。今後も訪日観光客や外国人居住者の増加が予想され、緊急性の高い情報をより多くの人に迅速かつ確実に届け、避難行動につなげる必要性が高まっている。

ゆえに「神戸駅周辺地域防災計画」を策定し、地域の事業者間連携と、津波防災にも取り組んでいる。毎年1月17日には津波避難の誘導訓練を実施している。同市はこのたび、国内外で初となる「ラジオ放送と放送設備・デジタルサイネージを連携させたシステム」を訓練時に設置し、聴覚と視覚に訴求する多言語情報(英、中、韓国語)で、より的確な避難誘導が行えるかをラジオ関西と検証する。

災害に強いラジオ放送にID信号を埋め込み、施設内の放送設備とデジタルサイネージを起動させることで、インターネット回線が切断された状態でも災害情報を配信できることを確認する。同システムについて、音源へのID信号の埋め込みとシステム全体の構築および設定・調整を担当するTOAは、ラジオ関西プロダクツがAM・FM受信機を開発し、日立ケーイーシステムズがサイネージ配信端末の開発と映像コンテンツ制作を行っているという。

ハーバーランド地下街と三宮の「さんちか」で同日に同時検証する。上記システムは、施設毎のIDに応じた情報発信が可能で、仮設・既設の別なく放送設備に対応できる汎用性を備えていて、安価なコストで情報伝達の耐障害性を高められるという。