生活リズムを照明がサポートする、高齢者福祉施設にて実証

人は朝に目覚め、日中に活動し、夜眠くなり睡眠する。この一般的な生活リズムは、昼夜の明暗サイクルがないところにおいて、地球の自転一回分である24時間と等しくならない。そのような場所でリズムは少し長いため、毎日少しずつそれを調整して、24時間周期にあわせる必要がある。

朝に十分な光を浴びることは、リズム調整に効果的である。ほかにも調整作用をもつ因子はいくつか知られているが、物理的な要因では「光」の影響が最大であることがわかっているという。パナソニックのライフソリューションズ社は、生活リズムをサポートする高齢者福祉施設向け「リズムサポート照明システム」を導入した施設での実証実験により、同システムが健全な生活リズムを保ちやすくし、夜間の落ち着きを促すことを確認した。

夜勤スタッフの負担軽減効果もみられたという。リズムサポート照明システムは、北大阪健康医療都市(健都)2街区の高齢者向けウェルネス住宅「patona吹田健都」と「エイジフリーハウス吹田健都プレミア」(2月開業予定)内4ケ所において、調光調色LED照明器具合計114台と照明制御システム4セットで構成――照明の明るさと色を1日の自然光に合わせて、特定スケジュール(特許出願中)で運用する。

高齢者福祉施設のデイルームや食堂など、入所者が日中の多くを過ごす共用部向けに、昨年4月に提案を開始した。同システムによる日中の明るい光は、生活リズムを整えつつ、まぶしさにも配慮した和やかな雰囲気を演出する。日の入り後には、夜の睡眠を阻害しない、低照度・低色温度でありながら薄暗さを感じにくい、くつろぎの明かり空間を提供する。

リズムサポート照明システムを試験導入した医療法人大泉会の介護老人保健施設「だいせん」では、入居者が夜間に寝ている時間の割合(時間)が12%増加したり、夜勤スタッフが推奨時間帯に横になれた時間が46分増加したりしたという。