およそ10年前から超高齢化社会となり、人口が減り続けている。日本では、街中や介護現場など人間に近いところで活躍するロボットが求められている。力持ちで正確な動作を得意とする、モーターと減速機で駆動するロボットは、物体に衝突した際に停止できない――。
近くで働いていると、ややもすれば危険な存在ともなる。これまでのロボットは、駆動部の構造が人間のそれとは異なる。人間の関節は、柔軟かつ軽量な筋肉の拮抗配置(曲げる筋vs.伸ばす筋)により駆動されている。この構造によって、関節を曲げる力や角度だけでなく、関節の弾性や粘性(速度に対する反力、ダンパ要素)を変えられ、体が物体に当たった時でも関節が倣うように動き、衝撃を和らげられるという。
「次世代人工知能・ロボット中核技術開発」に取り組んでいるNEDOは、中央大学と共同で、人間のやわらかな動きを再現できる関節モジュールを開発したことを9日に発表。同モジュールは、空気圧人工筋肉と磁気粘性(MR)流体ブレーキで駆動され、人間の関節のように関節を曲げる力の大きさや角度だけでなく粘弾性を変化させることができる。これによりロボットは、人との自然な接触や安全な協働作業などが可能になるという。
従来のモーター駆動装置による制御と異なり、ハードウェアそのものの特性を直接変化させるため、安全性や応答性に優れている。間接モジュールは、上記人工筋肉とMR流体ブレーキの駆動に必要な空気圧源および電源も内部に配置。オフラインで動く。空気圧人工筋肉が軽量で空気圧源に液化ガスを用いているため、重さはたった4kgである。
同モジュールを「NEDO AI&ROBOT NEXT シンポジウム」(概要@Peatix)で披露する。両者は今回の成果を、可変粘弾性下肢アシスト装具Airsist(参考資料PDF)に適用しつつ中央大学発ベンチャー企業SoLARISを通じて事業化していく考えだ。