まるで地球が怒っているようである。近ごろ国内外で地震や噴火、洪水、台風等が多発している。そのため、損害保険業界においては保険金支払いが増加し、自然災害による想定を上回る損失への対応が重要となっている。
かねてより、独自開発した自然災害工学モデル及びポートフォリオ最適化技術を用いて、再保険など損害保険会社が保有するリスクを外部(再保険会社など)に分散するしくみを効率的に活用し、安定した保険運営に取り組んできた。最適化計算結果は、保険引受業務や保有リスクの管理などに活かされている。が、近年頻発する大規模自然災害に加え、海外事業拡大などの変化に伴い――
同時に考慮すべき保険契約・保険スキーム数などが拡大し、より大規模で複雑な損害保険ポートフォリオ最適化のニーズが高まっているという。損保ジャパン日本興亜とSOMPOリスク、日立製作所は、半導体ベースの新型コンピュータ"CMOSアニーリング"(参考記事)の損害保険ポートフォリオ最適化への適用検討に合意。実証実験を本格化する。
従来型コンピュータで月ないし年単位の計算を要する、大規模で複雑な保険条件を考慮した損害保険ポートフォリオ最適化問題について、許容計算時間内(例1日以内)で解けるかを検証する。損害保険分野の経営課題である保険保有リスクに関するポートフォリオの最適化に対するCMOSアニーリングの適用を検討し、インシュアテック(保険×IT)によるリスクコントロールの高度化を目指す。
損保ジャパン日本興亜は最適化すべきポートフォリオ条件の設定を担当。SOMPOリスクは前記条件の最適化問題への落とし込みと自然災害工学モデルによる推定損害額算出を行う。イジングモデル定式化とCMOSアニーリングによるポートフォリオ最適化を担う日立は、今回の取り組みをLumadaのユースケースとし、新型コンピュータのさらなる性能向上と適用範囲の拡大も図っていくという。