商品やサービスの担当部門が制作する。パンフレットなどの原稿について、専門用語などのレギュレーションチェックは確認部門が一括して行う。制作レギュレーションを複数の作業者に徹底することは難しい。
そのため、確認者の2重3重のチェックあるいは複数の確認者からの差し戻しに対する制作者の修正作業などが発生する。制作と確認、両部門に負担がかかっていた。みずほ銀行では、制作レギュレーションに対する校正スキルやナレッジの属人化も課題になっていたという。凸版印刷は8日、人工知能によって企業ごとの基準で文章の校閲・校正を可能にする「AI校閲・校正支援システム」が同行に採用され今月より運用されることを公表した。
印刷物・デジタル媒体に関する業界・企業特有の表記や専門用語を学習する。同システムは昨年10月に開発され、その第一弾として金融業界向けにサービス提供が行われている。みずほ銀行との共同実証実験('18年12月~'19年3月)では、同行の広告制作物における校閲・校正業務でこれを活用することにより、作業者の負荷削減やヒューマンエラーの減少などの業務効率化が確認され、有効性が証明された。
AIに規定・規約等を学習させた自動チェック機能で、確認部門だけでなく制作部門も初期段階からレギュレーションチェックが可能となり、制作者と確認者間のやり取り回数や修正指示の削減を達成した。制作業務フロー全体の業務効率化と品質向上における有効性が認められた。「AI校閲・校正支援システム」の特長は、"AIを活用した誤表記検出"、"制作レギュレーションを管理"、"制作業務に最適なインターフェース"だという。
凸版印刷は、金融業界を軸に同システムを'20年度20社に導入、'22年度までに累計売上100億円をめざす。金融機関以外の企業で特有の表記および専門用語の実装とAIによる学習を進め、各業界へもこのシステムを展開していく構えだ。