農産品のAからZをブロックチェーンで記録、取引の活性化へ

地方経済の活性化が重要なテーマである。日本では昨今、多くの自治体において農産品など地域資源のブランド化を支援・促進する動きが拡大している。政府の支援が広がり、地域資源の市場開拓で司令塔となる地域商社の設立も盛んになっているという。

ISIDは7日、農産品の生産履歴と取引状況の可視化を目的としたスマート農業データ流通基盤 「SMAGt(スマッグ:スマートアグリカルチャー・トレーサビリティ)」を発表した。同社は'16年より宮崎県綾町と共同で、ブロックチェーン(分散型台帳)を活用して有機農産物の生産・流通履歴から個人の消費行動までを記録し可視化するシステムの構築に取り組み、実証を重ねてきた。この知見をベースにこの度開発したという。

「SMAGt」は各種農業支援アプリとの連携および取引状況の可視化機能を新たに実装。農産品の生産履歴から出荷、流通、販売までを暗号資産管理等でも使われるデジタル技術を用いて記録する。地場農産品のブランド化、食品偽装の防止、輸出拡大に取り組む団体や商社など農業関係者への提供が予定されている。しくみの事業化に向け現在、同社は複数の自治体・企業と社会実装の検証を実施している。

福島県で農業と観光の再生に向け、町の新たな特産品として国産バナナの栽培に取り組んでいる広野町振興公社との検証事例(ふたばワールドに出展)のほか、鳥取市とは高収益を実現する「梨リレー栽培モデル」の確立に取り組み、マレーシアへの梨の輸出促進を図る地域商社とっとりと、現地バイヤーと消費者へこだわりの栽培情報と鳥取梨ブランド価値をアピールする事例も作った。

農薬や堆肥の使用状況、収穫時期と量の予測から販売に至るまでのデータを耐改ざん性の高いプラットフォーム「SMAGt」で可視化する。農業事業者は消費者へ"安全性"や"生産者のこだわり"を信頼情報として提供し、輸出規制にも効率的に対応できるという。