情報通信
スマート図書館、まずはウォークスルー自動貸出から
デジタル技術の活用が進んでいる。図書館は利便性が上がり、利用者が増えている。昨今、レファレンスサービスやイベント企画など、そこに求められる役割は高度化しつつある。
社会的な労働人口の減少は図書館においても例外ではなく、職員確保はより困難になることが想定され、さらなる業務の省力化が必要だという。和歌山県有田川町と富士通マーケティングは、スマート図書館の実現に向け、ICタグを活用した「ウォークスルー型図書自動貸出システム」を来年1月7日より運用する。同システムは、利用者カードと図書を持った人が施設内のICタグ読取ゲートを通過するだけで貸出手続きを完了させる。
読取ゲートは、高い認識率を実現させるため、実証実験を重ねオリジナルで制作した。自動返却ポストと組合せることで、利用者の利便性向上と図書施設運営の効率化をめざす。町は、地域住民の交流の場として、「本と絵本のまちづくり」をコンセプトに明るくて開放的な図書施設「有田川町地域交流センター(ALEC)」を'09年に開館。ALECは絵本作家の講演会や絵本に関するワークショップなど、多くのイベントを開催している。
図書館システムの更改に合わせて、ICタグや自動貸出の導入などを検討し、「スマート図書館化事業計画」を立案。図書館振興財団の助成事業を受け、ALECにおける今回のシステム構築に至った。一方、富士通マーケティングは'09年に図書館情報システム「FUJITSU 文教ソリューション iLiswing 21/We」を導入したことを契機に、これまでもALECへ様々なICT(情報通信技術)導入の支援をしてきたという。
有田川町はランドマークであるALECを活用し、住んでいることを誇れる笑顔あふれる町づくりを目指していく。そして、富士通マーケティングは、AI(人工知能)やチャットボットなど新しい技術を活用して、図書館サービスの向上を図っていく考えだ。