RFIDを活用したスマートサプライチェーンの効果と指針を公開

少子高齢化や人口減少による人手不足が深刻化し、労務コストの上昇が顕在化しつつある。流通業界では、消費財のサプライチェーン内に多数の事業者が存在していて、各々個別最適を希求しているために、チェーン全体での最適化がなされず、食品ロスや返品等の無駄が発生している。

他方で、消費者意識は多様化している――。変化する消費者ニーズを正確に把握することが極めて重要である。流通業は、サプライチェーンの効率化を図りながら、高度なサービスなど新たな価値を創造していくことが求められているとして、経済産業省が「IoT等を活用したサプライチェーンのスマート化」を支援している。

12月26日、DNPは、同省およびNEDOと共同で今年2月に実施した電子(IC)タグを用いた情報共有システムの実証実験で得られた成果のレポートを公開した。前年度から倍増した約60の企業・機関・大学が参加した今回の実験では、業界を超えたRFID(無線通信IDシステム)を活用したデータ連携の推進やサプライチェーンの効率化、食品ロス・廃棄ロスの削減などの社会課題の解決を目指していたという。

「店舗でのRFID活用によるダイナミックプライシングと広告配信効果を検証」、「RFIDを用いた家庭内サービスの体験」を実証したこの度の報告書では、RFIDにより生活者の利便性を向上させる"ミセナカ・イエナカ"での新サービスの可能性についても言及している。また、「個品(商品)への電子タグ貼付に関するガイドライン」および「物流形態における電子タグ貼付に関するガイドライン」も公開したという。

同社は今後もサプライチェーンの効率化・スマート化に向けてRFIDの実装を推進していく構えであり、上記報告書はすでにNEDOライブラリ「成果報告書データベース」で公開されていて、いずれ経産省Webサイト(今月時点の「NEDO成果報告書」は前年度版)でも公開されるとのことだ。