先端的AI群により、金融リスク管理及び不正取引対策を高度化

デジタル技術を用いた様々な金融サービスが創出され、金融取引のイノベーションが進んでいる。近年、複雑・巧妙化する不正取引対策のため、金融サービス提供者においては、膨大な情報の中から一定の基準に基づき、不正の疑いのある取引を専門家が調査し分析している。

一方で、人材不足や審査業務の属人化、高齢化などが課題となっていて、AI(人工知能)を適用する――従来の規制枠組みだけでなく、業界団体等による自主ガイドラインなどの策定推進が有効だという。NECは、約60社が参加する「証券コンソーシアム」の「共通事務ワーキンググループ 売買審査AI適用サブワーキング」事務局として、証券7社が参加したAI試行検証の運営、売買審査へAI適用する際に証券会社の拠り所となるホワイトペーパー作成などを推進してきた(活動報告12/10)。

そして12月25日、同社は、AI技術を活用し、証券・銀行・保険などの金融取引におけるリスク・不正対策業務の効率化および高度化を実現するソリューションを順次販売することを発表。その第一弾として、証券業界向けに、不公正取引の審査業務を支援するクラウドサービス「NEC AI売買審査支援サービス」を提供開始した。同サービスは、SBI証券による採用が決定していて、来年1月から運用が始まる予定だという。

最先端AI技術群「NEC the WISE」のディープラーニング(深層学習)で高精度な予測を実現する「RAPID機械学習技術」と、分析結果の根拠を可視化できる説明可能AI「異種混合学習技術」を活用することで、株式取引における見せ玉や仮装売買などの不公正取引度合をAIが高精度に検出するとともに、その判定理由も出力する。

これにより、審査担当者が人手で行っていた株式取引の審査業務を効率化する。デジタル時代に、審査担当者はより複雑かつ高度な不正手口の調査・分析に取り組むことができるという。