小型無人機ドローンや、より大きなセンサーなどを搭載可能な中型無人機はすでに農業分野などで利用が広がり、運用数が増加している。災害時の物資運搬や遭難者捜索、物流インフラ等での活躍が大いに期待され、その数はさらに増えていくだろう。
無人機の「目視外飛行」および「第三者上空飛行」の実現に際しては、機体の故障や燃料残量の減少、急な雨雲の接近などの緊急時に、緊急着陸地点やそこに至る経路の情報を、ドローン運航管理システム等によって地上から指示する必要がある。離島間物流のように、通信インフラが不十分な洋上を飛行する場合、無人機がさまざまな緊急事態へ自律的に対応できなければならない。
自律的ダイナミック・リルーティング技術の実用化が必要不可欠だという。無人航空機の社会実装に向けたプロジェクトを推進しているNEDOは、SUBARU、日本無線、日本アビオニクス、三菱電機、自律制御システム研究所とともに、愛知県、豊川市、田原市の協力のもと12月16日～24日、三河湾海上で、無人航空機が緊急時でも自律的に危険を回避できる技術を実証する飛行試験を実施した。
豊川市御津と田原市白浜を結ぶ洋上約12kmにおいて、離島での無人航空機の運用を想定し、非常時に無人航空機が自らの判断で経路を変更し、事前に設定された緊急着陸地点まで飛行する――自律的ダイナミック・リルーティング技術が持つ3機能すなわち「故障や燃料残量が減少した時の自律的経路変更」「悪天候時の自律的経路変更」「準天頂衛星システムの高精度測位情報を用いて変更した経路を飛行」を実証した。
緊急時の回避経路の指示などの地上からの支援が受けられない状況下でも、無人航空機を安全に運用することが可能になるという。同技術について、NEDOは物流・インフラ点検・災害対応などで活用できる無人機及び運航管理システムの開発を進めつつ、国際標準化活動にも取り組んでいるという。