IoTスマート農業、水田向けのスターターキットが登場

平均年齢が65歳を超える。日本の農業現場では、経営の大規模化が進む一方で、農作業の効率化や省力化が大きな課題となっている。そのため、ICT(情報通信技術)を活用する「スマート農業」を普及させる取り組みが全国各地で急進しつつある。

今年始まった「スマート農業加速化実証プロジェクト」(農水省PDF資料)では全国69地区において、先端技術を活用し、生産から出荷までを一貫して管理する体系を確立するべく、官民一体の取り組みが進んでいるという。IIJは、農業IoTへの取り組みの一環として、水田の水管理を省力化する水田水管理IoTシステムを開発。大規模水田を保有する農家や農業共同経営体(JA)を軸に、これを展開していく。

同システムは、単三電池2本で約半年間水田の水位・水温を30分間隔で測定するLoRaWAN®対応IoTセンサー10台と、Kiwitec製無線基地局(関連記事)1台と、取得データをクラウドに蓄積しスマホで確認できる通信機器(通信料3年分)と、アプリ(3年間利用料)をパッケージにした、スターターキット「水管理パックS」として、住友商事が販売元となり12月25日に受注受付を開始し、来年3月より提供するという。

IIJは'17年から農研機構「革新的技術開発・緊急展開事業(うち経営体強化プロジェクト)」の支援を受け、水田の水管理の省力化を可能とする低コストICT水管理システムの開発、および実証実験を進めてきた。そして今回、長距離(約1~2km)通信を可能とする安価な水田センサーの開発に成功した。同システムを利用することで、営農者は自宅に居ながら圃場の状況を把握できる。

かつ水田の水管理にかかる労働負荷を大幅に軽減できるという。IIJのシステムと、笑農和が開発した水量自動制御スマート給水バルブとを利用すれば、圃場の水管理にかかる作業時間など、コストも大幅に削減可能になるとのことだ。