鉄筋出来形を自動検測、土木・建築分野の生産性を向上する

人手不足が深刻化している。土木・建設業界では現在、鉄筋出来形計測作業を2名1組で行っている。スケールやノギスを用いて、鉄筋径と配筋間隔を計測――。エビデンスとして各寸法を撮影し、鉄筋出来形計測調書の作成も行っている。

一連の作業においては、特に鉄筋を区別するマーキングや配筋間隔を示す標尺の設置等の事前準備に多くの手間と時間を費やしていたという。三井住友建設日立ソリューションズは、光を照射して対象物までの距離を計測する"TOFカメラ"を活用した「鉄筋出来形自動検測システム」(特許出願済み)を共同開発した。前者は後者の空間情報分野での実績を活用し、3次元情報を計測可能な省力化の仕組みづくりを目指していた。

TOFカメラを搭載したタブレット等で撮影するだけで、鉄筋径・配筋間隔の計測及び帳票作成までをリアルタイムで自動出力できるため、従来の計測方法に比べ、施工管理者が検測作業に拘束される時間が3分の1に縮小できるという。同システムは2種類のカメラ――デジカメ等に使用され色彩を判別することが可能なRGBカメラと、TOFカメラとによって撮影した画像を合成することで、鉄筋径と配筋間隔の計測を行う。

RGBカメラだけでは判別が困難であった多段配置された鉄筋においても、TOFカメラを利用することにより、的確に対象の鉄筋を抽出して計測することができる。計測結果はデータとして記録し、検査写真および帳票を自動作成する。今回共同開発したシステムは、高度な技術を要さないため、誰でも容易に検測できるようになり、人手不足解消に貢献するという。

両社は今後、上記システムの更なる開発を進めていく。国交省が"i-Constraction"推進によって'25年までに生産性2割アップを目指している(内閣府PDF)――。土木・建築分野における様々な出来形検測への積極的な導入展開を図り、生産性の向上に取り組んでいく構えだ。