船舶の衝突を自動回避する、航海支援システムの実用化に向けて

車みたいに急ハンドルが切れない――。30万重量トンの大型タンカーは、原油を満載し16ノットのフルスピードで走っている状態で急にエンジンを停止しても、船がほぼ静止するまでには約30分かかり、この間に船は8キロメートルも進んでいる(日本船主協会「海運雑学ゼミナール」より)。

そこで、商船三井MOLマリン海上技術安全研究所東京海洋大学は、「避航操船アルゴリズムと避航自動化に関する共同研究」を行っていくことで合意し、契約を締結した。共同研究では、「衝突自動回避アルゴリズム」と「自律航行/遠隔操船システム」の研究を行うとともに、操船シミュレーターや実船を用いて、海技者が避航操船を含む自律航行/遠隔操船システムの評価を行い、システム開発及び実船装備にそなえるという。

自船の針路に対する相手船による航行妨害ゾーン(OZT:Obstacle Zone by Target)を考慮した上で、危険を避けて航行する(避航)ための避航航路設定にルールベースや強化学習等の人工知能(AI)技術を応用し、自律航行/遠隔操船システムの実用化を図る。

商船三井は、「AR航海情報表示システム」(ニュースリリース一例)などの「認知」にかかわる航海支援システムを「FOCUS EYE」シリーズ(プロジェクト発足ニュースリリース)と区分していて、今回の衝突自動回避アルゴリズムなどの「判断」にかかわる航海支援システムを新たに「FOCUS BRAIN」シリーズとし、安全運航の高度化や自律航行船の実現に向けた取り組みを加速していく。

同社は、'16年11月に発表した「船舶維新NEXT~MOL SMART SHIP PROJECT~」における高度安全運航支援と環境負荷低減を推進すると共に、ICT(情報通信技術)を利活用したサービス向上を通じ、物流のビジネスパートナーとして顧客に選ばれる企業グループを目指していく構えだ。