ソサエティ5.0、大都市の乱流予測をドローンで実証

未来社会では、IoTが普及し、ロボットや自動走行車などの技術で、少子高齢化、地方の過疎化、貧富の格差などの課題が克服される。無人飛行機ドローンをはじめとする様々な自律型マシンの活躍によって、人やモノが集中する都市部は経済的にも社会的にも大きな恩恵を受けるだろう。

我が国が目指すべき社会の姿として、第5期科学技術基本計画で超スマート社会の実現「ソサエティ5.0」が提唱された(引用:内閣府Web)。先端テクノロジの活用による上述のような効果が期待される一方で、新しいロボットや技術は、強風によるドローンの墜落、熱や雨によるセンサーの性能低下など、気象の影響を受けることが知られている。

それらロボットや技術を大都市でも最大限に活躍させるには、超高層ビル街区による複雑な気流、都市部の暑熱環境や局地的な大雨などを的確に捉えることが重要である。そこで、大都市特有の気象現象を観測、解析、予測する技術を開発し、都市気象情報を一元的に提供可能なプラットフォームの実現を目指しているという。

東京工業大学神田教室日本気象協会防災科学技術研究所は、「都市気象情報プラットフォームの研究開発」(JST採択事業)で試作した超高解像度「都市乱流予測」を新宿でのドローン飛行実証実験に提供し、その有効性を検証した。超高層ビル街区を含む大都市でのドローンの安全飛行を目的とした同予測の活用は、国内で初めての取り組み(日本気象協会調べ)だという。

地域の産官学有志メンバで構成された「チーム・新宿」による災害対応実証実験(資料:SJNK社PDF)にて乱流予測を試みた。結果、2mメッシュ、5分間隔の情報で、超高層ビル街区を含む大都市特有のビル風や強風、ビルによる乱流などを予測するしくみは、ドローンの安全飛行に十分活かせることと、情報の有効性も確認できたという。3者は今後、同プラットフォームの予測精度向上などを目指していく。