パブリッククラウドに複数銀行のデータを統合、地域価値向上に活かす

シェア経済が台頭し、様々なモノを「所有から利用へ」と変えるサービスが多数生まれている。日本のIT(情報技術)ユーザーの間で「クラウドファースト」が言われて久しい。が、金融機関の勘定系システムや顧客マスターデータのように、パブリッククラウドに不向きと思われているものもある。

今月13日、ブレインパッドは、山口フィナンシャルグループ傘下の山口銀行もみじ銀行北九州銀行の顧客情報などを一元的に収集・活用する「統合データベース(DB)」を、日本マイクロソフトとともに「Microsoft Azure」上に構築した。複数の銀行のデータを統合し、パブリッククラウドのPaaSを活用したデータ活用基盤の構築は、地方銀行では国内初の取り組みだという。

山口FGは、金融資産の流通に留まらない支援を通じて企業を活性化させ、地域に暮らす人々を豊かにする「リージョナル・バリューアップ・カンパニー」となる。「金融資産流通企業」から「情報資産流通企業」への変革を見据えて、統合DBの構築により、傘下銀行の勘定系システム等に分散している顧客情報、ウェブサイトの行動履歴などさまざまなデータを一元的に収集・活用することで、地域に新たな価値を提供していくことを目指している。

統合DB構想には、金融機関に必須の高いセキュリティ水準「信頼性」に加え、環境・状況変化にも即応できる「迅速性」と「柔軟性」が求められた。これらの要件を満たす製品としてMicrosoft Azureが選ばれ、データ分析・活用に関するノウハウとシステム構築技術を併せ持つブレインパッドが導入を支援したという。

同社は、山口FGの意向に基づき、わずか6カ月強で、容易にシステム構成変更やデータ追加が可能な、高信頼DBを実現した。今後は、プライベートDMP「Rtoaster」を活用し、ユーザーニーズにマッチした金融商品のレコメンド施策などを実施していく予定だ。