AIでタクシーの需給予測、ナビアプリで収益・業務効率アップへ導く

少子高齢化と団塊世代の大量リタイアなどにより、多様な業種で人手不足と技の継承が課題となっている。日本では'02年に改正道路運送法が施行され、数量規制が廃止されたことにより、その台数が増えたものの輸送人員が右肩下がりといった状況にも、タクシー事業者は悩まされている。

経験の浅い乗務員は道に不慣れで、歩合制の稼ぎにも不安を抱いている。一方、タクシー事業者は、収益の向上と人手不足の解消が待ったなしの課題となっている。今月10日、DeNAは次世代タクシー配車アプリ「MOV」において、AIを活用してタクシーの需要供給予測を行い、乗務員に経路案内する「お客様探索ナビ」を商用化した。

運⾏⾞両から収集するプローブデータ(⾃動⾞が⾛⾏した位置や⾞速などの情報を⽤いて⽣成された道路交通情報)を解析し、カーナビのようにタクシーをリアルタイムかつ個別にお客が待つ通りまで誘導する。乗務員は目的地を入力することなく、アプリ上の案内に従って運転することで、効率的に利用客を探せる。お客はよりスピーディにタクシーを捕まえられる。

需要と供給を予測しナビゲーションという乗務員が使い慣れているUIに落とし込んだ点が最大の特徴である。ただエリアの需要予測だけでなく、他のタクシーの供給量も加味しつつ道路レベルで最適経路を推薦する。しくみの事前検証では、「実際に営業収入があがり心強かった。実験後もナビに頼りたくなる」「提示ルートに納得感があり、収益性の高い典型的な営業ルートを再現できている」など、新人・ベテラン乗務員ともに、好評だったという。

収益性の向上をサポートすることで歩合制に対する不安を解消し、乗務員の新規採用への寄与が期待される。「お客様探索ナビ」について同社は、神奈川県横浜市中区・西区・南区・神奈川区・保土ヶ谷区を当面のサービスエリアとし、今後データが集積し実用性が確立された地域などへも展開していくという。