社長報酬総額は微増、売上1兆円超企業で約1億円

昨今、日本においても「ESG」が経営のキーワードとなっている。環境・社会・企業統治を意味するESGは、ビジネスの持続可能性を測る指標であり、投資の判断基準にもなっている。

そこで昨年6月、東京証券取引所は、「非財務情報」にESG要素に関する情報が含まれることを明確にした改訂版「コーポレートガバナンス・コード」(PDF)を公表した。これにより、CEOの選任基準を整備している企業が266社と全体の28.7%(前年比+21.1ポイント)と大幅に上昇。解任基準も全体の27.7%(257社)が整備していて、CEOの選解任に関する手続きの客観性・透明性担保に対応する企業が見られるという。

デロイトトーマツグループは、日本企業における役員報酬の水準、役員報酬制度の導入およびコーポレートガバナンスへの対応状況の実態調査『役員報酬サーベイ(2019年度版)』を実施。上述のような結果をまとめた(抜粋PDF資料)。このサーベイは'02年以降行っているもので、今年度は'19年7月~9月にかけて、DTCおよび三井住友信託銀行と共同して実施し、東証一部上場企業を軸に928社から回答を得たという。

役員報酬サーベイとして日本最大規模の調査となっている。2019年度版では、「コーポレートガバナンス・コードの改訂を受け、報酬委員会の設置および選解任基準の整備が進んでいる」としたほか、サマリーと要点を次のように伝えている。

「報酬水準は昨年対比でわずかに上昇。年々増加傾向に」
売上高1兆円以上の企業(52社)における社長の報酬総額水準は中央値で9,946万円(前年比+0.9%)。

「株式関連報酬は増加傾向にあり、特に株式交付信託・譲渡制限付株式の導入が進んでいる」
60.2%の企業が株式関連報酬を導入済みと回答(昨年より15.3%増)。その制度としては、株式交付信託(信託の設定による株式付与)が147社で最多だった。