生産年齢人口の減少や高齢化を背景に、あらゆる分野で「働き方改革」がいわれその推進が求められている。日本では医療現場の人手不足も深刻で、もとより米国との比較で最も少ない診療科とされている放射線科において、診断の質を担保しつつ撮影検査を効率化することは急務である。
MRI(磁気共鳴映像法)による検査は、1回の診断に複数シーケンスの大量画像を注意深く読影することが必要で、放射線科医にとって難易度が高く負荷の高い診断業務である。超高齢時代をゆくわが国では昨今、予防目的の人間ドックにおけるMRI撮影件数が増加していて、それでなくとも不足している放射線科医の負担が、一層増大しているという。
最新鋭のMRIやCTによる画像検査・診断を行うメディカルスキャニングに対して読影業務ソリューションを提供しているメッドサポートシステムズと、グローバルでAI画像診断支援ソリューションの開発を進めるNTTデータは、11月29日からAI画像診断技術の商用利用を目標にした実証実験を行っている。同実証実験では、脳MRI撮影画像に対するAI診断支援エンジンとAI診断支援実証用ビューアを開発し、その有用性を評価する。
画像診断情報システムのノウハウおよびAI技術を用い、来年3月までにこれを完了――NTTデータによるAIエンジン開発(~2月)およびメッドサポートシステムズによる効果検証(2~3月)――後、'20年度内をめどにサービス展開を目指す。今回の取り組みにより、急性期の診断支援から人間ドックなどの予防医療への支援まで、幅広い範囲の読影業務において、医療の質向上を伴った診断作業の効率化を図っていく。
両社は今後も共同して、対象を脳以外の部位のMRI撮影にも広げ、複数部位・複数疾患のMRI撮影に対応可能なAI画像診断支援ソリューションを提供することで、医療従事者の負担軽減、医療の質向上をサポートしていく構えだ。