国内CAD/CAM/CAEシステム市場は4千億円超えへ

モノの設計、製造、解析等をコンピュータを用いてする。人を支援するシステムは機械系から電子・電気、化学系にわたる製造業および土木・建築業界において、業務効率と生産性と競争力を高める、とても重要な役割を果たしている。

11月25日、矢野経済研究所は、日本国内のCAD/CAM/CAEシステム市場規模(メーカー出荷金額ベース)について、'18年度は前年度比 8.8%増の3,785億円となり好調であった。企業収益が過去最高を記録し、製造業の設備投資額が増加。海外経済の回復により、輸出や生産が好調に推移し、民需も堅調であった。経済環境下でEDA(電子系デザイン自動化)市場も回復し、土木・建築系CADも好調だったという。

同社は、令和2年度予算の概算要求にみる注目ポイントは、土木・建築とMaaS(移動手段のサービス化)だとする。まず、国土交通省のそれについて、公共事業関係費は前年度より19%増の6兆2,699億円。自然災害が相次いでいることを踏まえ、防災対策に重点を置いている。ここ数年、公共事業関係費が高いレベルにあり、これにより、土木・建築系CADが好調に推移しているとした。

そして、経済産業省では超スマート社会の実現策であるSociety5.0を推進する予算の一部として、「高度な自動走行・MaaSの社会実装に向けた研究開発・実証事業費」を65億円計上(同省PDF資料)し、MaaSの普及促進が目指される。これらの状況から、矢野経済研究所は、'20年度のCAD/CAM/CAEシステム市場は、土木・建築関連とMaaS関連が牽引すると見込んでいる。

米中貿易摩擦および米国の利上げが世界経済の下げ要因となっていて、日本国内では消費税率が10%となった。'19年度は、景気悪化の懸念があることから、CAD/CAM/CAE市場の成長は若干減速し、4,026億円(前年度比6.4%増)になると予想している。