AI技術のひとつディープラーニングの活用により、画像・映像の解析処理などの分野で劇的な精度向上がなされてきた。一方で、膨大な計算を必要とするそれをあらゆるモノがネットにつながる「IoT」のエッジデバイスで実現するための研究も進んでいる。
IoTデバイスでの活用に向けて省電力かつ高性能な専用ハードウェア(アクセラレータ)の重要性が増大。その実現手段として、現場で回路構成の変更が可能なFPGAを用いる方法がある。近年では、FPGAと高性能CPU・高速I/Oが集積されたFPGAが製品化され、システム全体をワンチップで構成でき、性能と柔軟性を高い電力効率で実現できつつあるという。
コニカミノルタは、同社の強みである画像・映像の高速処理技術を活かしたIoT・AI技術開発を推進していて、この度、東京大学大学院情報理工学系研究科 コンピュータ科学専攻 高前田伸也准教授と、ディープラーニングを高速処理するハードウェアのためのコンパイラ「NNgen」を開発。これをオープンソースとして一般公開(GitHub「NNgen」)した。
産学連携による「NNgen」は、用途に応じて構築・学習済みのディープラーニングモデルを、高速に処理できる専用アクセラレータをFPGA上に手軽かつ効率的に実装するためのドメイン固有型の拡張可能な高位合成コンパイラである。モデルに特化したハードウェアアクセラレータのハードウェア記述(Verilog HDL)およびIPコア設定ファイル(IP-XACT)を生成する。
NNgenを「オープンソースカンファレンス2019/Fall」に出展し、デモ及びセミナーを行う。コニカミノルタと東京大学・高前田准教授は、コンパイラのオープンソース化を通じて、より幅広い開発者・研究者に利用されるコンパイラの進化を期待する。それと共に、AIの普及をサポートし社会の発展へ貢献していくことを目指している。