構造物のキズを早期発見するなどして劣化を防ぐ、点検作業は危険を伴う。ゆえに労働安全衛生法では、2m以上の高さで行う作業について、墜落防止を原則として、厳しいルールを定めている。全国に大小様々あるビルの外側における作業はすべて、法令上、高所作業となる。
法令上の定めがなくとも、労働者の安全確保は最優先事項である。近年、それとICT(情報通信技術)を活用した働き方改革のムーブメント、および小型無人機ドローンの普及もあり、高架橋やダムなどの社会資本、鉄塔、プラントやビル等の保守点検をデジタル化する流れが加速している。現在、転落等の事故を防げるドローンを活用したビル外壁点検を、自社でも実施しているという。
TKKと、サン電子、NTTコムウェア、スプラッシュトップ、ドコモ東北支社は、今月13日、超高速・大容量、超低遅延を特長とする第5世代移動通信方式(5G)によるドローンおよび拡張現実(AR)スマートグラスを活用した遠隔ビル外壁点検の実証実験(@ドコモ東北ビル)に成功した。
ドコモ提供の5Gを活用し、サン電子のARスマートグラス「AceReal One」、コムウェアのドローン情報取得・表示ソフトウェア「KnowledgeMap® xR」、クラウド型リモートデスクトップ「Splashtop」を組み合わせて、現場映像や各種飛行データ、ドローン操縦者(点検作業者)視点からの映像を遠隔地の管制センターにリアルタイム送信。それらの情報を基に、同センターから作業現場への指示や各種マニュアルをスマートグラスに表示した。
業務支援アプリ「AceReal Apps」のサーバー機能を「ドコモオープンイノベーションクラウド™」に構築し、より低遅延・セキュアな環境としていた。今回のしくみは、点検熟練者が現場へ赴く時間の削減、熟練者による複数現場の並行対応、すなわち効率的なノウハウ継承などへの寄与が期待できるという。