新世代通信システム向け、時空の電波伝搬モデルが国際標準に

超高速・超低遅延などを特長とする第5世代移動通信規格(5G)の商用サービスがまもなく始まる。IMT-2020などの新世代無線システムでは、アンテナ素子を水平方向と、新たに垂直方向にも配置して周波数利用効率を高めるMassive MIMO技術などの活用が見込まれている。

そのためには基地局側にて、垂直方向の電波到来角度特性の推定が必要になる。そこで、ソフトバンク東京工業大学は共同で、基地局側における電波の垂直面内到来角度推定法を開発し、国際電気通信連合内で無線通信に関する標準化や勧告を行う部門ITU-Rにこれを提案。「時間・空間電波伝搬推定法」(ITU-R勧告P.1816-3)に追加・改訂された、同推定法が今年9月標準化され、P.1816-4として発行された。

5Gなどの新世代無線通信システムの設計や評価に不可欠な電波伝搬モデルを新開発。今回改訂された手法は、時間・空間電波伝搬特性(電波の伝搬遅延時間特性と電波の水平および垂直方向からの到来角度特性)を同時に推定できる。今後のIMT-Advanced(ITUにおける4Gの呼称)やIMT-2020(ITUにおける5Gの呼称)などの超高速・広帯域移動通信システムの設計や評価などに必須の電波伝搬推定法である。

都市構造や基地局アンテナの高さ、送受信機間の距離などを考慮できる実用的な推定式であり、この推定法を用いることで、通信事業者はより効率的な移動通信ネットワークシステムの構築が可能になるという。ソフトバンクと東京工業大学は、今後も「時間・空間電波伝搬推定法」のような基礎的な研究開発やその成果の国際標準化活動を通して、通信業界の発展に貢献していく構えだ。

なお、両者は、'04年来活動してきた「時間・空間電波伝搬推定法」国際標準化について、昨年逝去された元東京工科大学教授の佐藤明雄氏(元総務省電波伝搬委員会主査)に謝辞を述べている。