建設現場IoT、火災報知機をネットワーク化し「ご安全に」

建設作業所における火災は、全作業員の身の安全を脅かす。それだけでなく、工期の遅れを招いたり、建物のイメージに影響を与えたりする可能性がある。事故の拡大を防ぐために、火災報知機を配備するにしても、これまでの仕組みでは警報できる範囲に限界があった。

日々状況が変わる建設現場では、有線接続による火災報知器の集中管理が困難なため、局所的な使用に留まっている。そのため、施工中の火災発生時に、作業員らの初期対応や避難に時間を要するなど、危険性が払拭できなかったという。竹中工務店KDDIヤマトプロテックは、火災発生時に避難経路を選択して、メールや場内スピーカーで自動通知する「建設現場向けIoT火災報知システム」の実証実験を行った。

9月13日、これを導入した避難訓練を竹中工務店東陽3丁目計画作業所にて実施したという。IoT火災警報システムは、竹中工務店による独自のIoT分電盤、KDDIのIoTクラウドシステム、ヤマトプロテックの火災報知制御モジュールなどの応用により実現したもの。火災報知器をネットワークに繋ぎ、クラウドシステムと連携させることで、火災発生個所に応じて避難経路を選択し、場内スピーカーにより自動でアナウンスする。

建設現場の全作業員に向けて一度に火災発生を通知することで、より迅速な初期対応や避難を可能にする。その場にいない作業員や内勤の事務職員へもメールで通知するので、作業所が無人となる夜間などにも有効である。同システムによる上記避難訓練では、発報と同時に、同作業所内の竹中工務店作業所員と協力会社職長に、メールで避難指示や避難経路が通知され、かつ所内スピーカーから避難経路が知らされた。

発報してから避難を開始するまでの時間は0分。約5分で迅速な避難行動を実現した。さらに、消火担当や誘導担当への初期対応を自動で通知することで、より迅速な初期対応も可能であることが確認されたという