先端データセンターにて産業用リチウムイオン蓄電池が稼働

地球温暖化を止めるために今、先進国を軸に低炭素社会の実現が急がれている。世界では、その一方で、データドリブンビジネスの台頭やソーシャルネットワークの発達などを背景に、ICT(情報通信技術)機器およびシステムを多数稼働させるデータセンター(DC)の需要が増え続けている。

持続可能な社会に向けた様々な取り組みが求められている、日本は「データ駆動型社会」の具現化も目指していて、環境省のPDF資料によると、国内のDCの電力消費量は3年前でも全体の約1~2%と推計されていた。よって、これまでも環境性能に優れたDCの構築・運用を進めてきたという。インフラサービス事業者のIIJは、今年5月に白井DCキャンパス(DCC)の運用を開始。

そこでは、エネルギー効率の高い「外気冷却空調」とAI空調制御など最新の省エネ技術によって、電力利用効率の最適化を図っている。外気を利用できない夏季は日中に電力ピークが発生。電力需要(負荷)を平準化できていないことが課題であったという。同社は今回、米テスラ社製の産業用リチウムイオン蓄電池「Powerpack」を導入し、充放電制御によって電力を最適化するしくみを11月1日より稼働させる。

鉛蓄電池よりもエネルギー密度が高く大容量で、優れた充放電特性を持っている。リチウムイオン蓄電池の同製品が有するバッテリー運転制御機能により、夜間に割安な電気を購入し、蓄えた電気を昼間のピーク時間帯に放出して、電力需要を平準化――。自律的にピークカットを実現してディマンド料金を低減する。蓄電池を非常時の電力源としてだけでなく、ふだんの電力供給にも活用する。

改正省エネ法が求める「電気の需要の平準化」(環境省PDF)に寄与する、エネルギーマネジメント機能をもった動的な蓄電池として上記の仕組みを活かし、環境に貢献する。同社はDCのエネルギー資源となる蓄電池の活用シーンを拡大していく構えだ。