世界初!受電~駆動がタイヤの中で完結する」

手塚治虫原作、虫プロのアニメ作品『W3(ワンダースリー)』を観た翌日、ごみ処分場からトラックのタイヤを失敬してきて、小さく丸めた体を収めたタイヤを転がし興奮していたのは"アラカン世代"。にしても、銀河パトロール隊が使っていたあの乗り物には、強烈な憧れがあった。

『W3』の放映から約50年後、地球温暖化をくい止める「低炭素社会」の実現が万国共通の課題となっている。日本ではCO2排出量のうち自動車が占める割合は約17%(環境省PDF資料)であり、引き続き削減が求められている。自動車のCO2排出量規制は全世界で年々厳しくなっていて、クルマの電動化が急速に進んでいる。特に電気自動車(EV)は走行中にCO2を排出せず、上記課題の有力な解決手段と考えられている。

充電に伴う利便性や、大量のバッテリ生産による資源欠乏への懸念などには、少ないバッテリ搭載量で効率的に走れるEVの普及、持続可能なEVで応えるべく、その一手段である「走行中給電」は多くのメリットがあるとして、世界的に数多の研究が行われているという。ロームは、東大大学院新領域創成科学研究科の研究グループ、ブリヂストン、日本精工、東洋電機製造と共同で、「第3世代 走行中ワイヤレス給電IWM」を開発した。

そして、実車での走行実験に成功した。道路からIWM(インホイールモータ)に直接、走行中給電できる。すべてをタイヤの中に収めた第3世代のそれは、'17年3月に東大グループらが発表した第2世代ワイヤレスIWMを発展させたものであり、実用化に向けて走行中給電性能、モータ性能、車両への搭載性を大幅に改善した。乗用車を駆動する(1輪あたり25kW)性能を、小型化と同時に実現したものだという。

今回、EVを軽量・安価かつ安心な車にするIWMユニットの小型化にあたっては、ロームの研究開発品である超小型SiCパワーモジュールが貢献しているとのことだ。