道路の冠水をコネクテッドカーで即座に検知し、リスク情報を公開する

IT(情報技術)を活用したデジタル変革が産業及び社会のさまざまな仕組みに広がりつつある。昨今、人々が暮らす地球上においては、激甚化する気象現象やそれによる被害が社会問題となっていて、これまで以上に局地性・即時性のある気象情報やその対応策情報が求められている。

そんなニーズに応えるには、より詳細で正確な気象状況をリアルタイムに把握することが必要――。だが、既存の気象観測器は設置場所や測定間隔が制限されてしまう。一方、IoT技術は自動車にも及んでいて、通信機能を備えた「コネクティッドカー」から寄せられる多様なデータを用いて、車の走行や挙動に影響を及ぼす事象を捉えることが可能になっているという。

ウェザーニューズトヨタは、気象データとコネクティッドカーから得られる車両データを活用して、気象観測・予測精度の向上やドライバーの安全、車両被害軽減を目指す共同研究に関する契約を締結。道路冠水のリアルタイム検知にかかる実証実験を東京都・大阪府・愛知県の3都府県にて10月に開始した。実験システムは、トヨタのテレマティックスサービス利用車両からのデータを統計処理し、匿名化した形で運用しているという。

両社は今夏、車両データと気象データを学習させた冠水検知AI(人工知能)アルゴリズムを開発し、昨年夏に都内で発生したゲリラ豪雨を対象に事例検証した。結果、車両の故障や立ち往生につながる深さの冠水箇所の推測に成功した。そしてこの度、アルゴリズムをより広域の道路で検証し、さらなる精度の向上を目指すという。

実証実験期間中、対象地域において冠水を伴う大雨が予想される際には臨時サイトをオープンし、推測された冠水箇所をリアルタイムに公開する。両社は気象データとコネクティッドカーから得られる知見を「いざという時に役に立つ」情報として社会に還元、そしてその一つの結果として、ドライバーのさらなる安全に寄与していく考えだ。