AI×IoT、タイヤ生産システムをデータ駆動型に

顧客ニーズの多様化やグローバル競争の激化――。世界で事業展開する製造業は、それらに伴う経営環境の急速な変化への対応を迫られている。そして日本国内では、生産年齢人口の減少、あらゆる業種での人手不足といった社会的課題への対応策も求められている。

そのような中、「DUNLOP」「FALKEN」が有名なタイヤの製造拠点では、市場競争力を高めるために、先進デジタル技術を活用した高効率で無駄のない生産システムの構築に取り組んでいるという。住友ゴムは今月3日、日立製作所、PTCジャパンとともに、AI・IoTプラットフォームにより高品質・高効率を実現するタイヤ生産システムをグローバルに構築する、協業開始を発表した。

昨年下期から住友ゴム名古屋工場において、品質向上をテーマにタイヤ生産工程(混合・材料・成形・加流工程)で、AI・IoTプラットフォームを用いた製造条件と品質の相関性を解析。データ収集・解析時間の90%短縮や、生産時に発生する仕損の30%低減といった効果が検証でき、その有用性が確認できたため、全ての国内外タイヤ製造工場への導入を決めたという。

工場内の生産ラインや製造拠点間の異なるFAシステムにPTCの「ThingWorx」を用いることで、生産設備の稼働データをリアルタイムでモニタリングし製造現場の可視化を行う。それらのデータを日立の「Lumada」を用いたAIアプリケーション群で網羅的に解析し、品質や生産性、設備予知保全、省エネルギー化などに影響を与える要因を高速・高精度に探索・抽出する。

製造現場内のデータを一元的に可視化することに加え、AI解析により有用な情報を定量的かつタイムリーに把握することで、スピーディーな意思決定による高品質・高効率生産を実現する。住友ゴムではこれらのシステム導入を順次進め、'25年までに国内外にある全てのタイヤ製造工場(12拠点)への導入を完了する計画だ。