「入院患者への説明等、コミュニケーションロボが代行」

様々な領域で政府主導による「働き方改革」が推し進められている。この国の、多くの医療機関では、看護師をはじめとした医療従事者は、入退院に関する手続きや注意事項等、患者への定型的な説明に多くの時間を費やしている。医療従事者の業務負担軽減は長年の政策課題だ。

近年、少子高齢社会で人手不足も深刻になりつつある。医療機関における働き方改革として、タスクシフティング(業務移管)が有効である――。医師事務作業補助者の拡充や看護補助者の活用などが進捗し、AIなど先端情報技術へのタスクシフティングも検討が進んでいるという。国立国際医療研究センター(NCGM)は、日立製作所とともに、同社のコミュニケーションロボット「EMIEW3」を活用した院内業務改革の研究を開始した。

8月23日より約3ヶ月間(予定)、NCGW病院の入退院支援センターにおいて、入院の際、従来どおり医療従事者が説明を行う患者50名と、説明の一部を「EMIEW3」が代行する患者50名、合計100名について、医療従事者の説明対応時間や負担感を比較し、ロボットの導入効果を評価する。研究に同意した患者の満足度等も調査し、ロボットによる説明を患者が受け入れられるか、その実現性を評価する。

今回の研究は「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」(厚労省PDF資料)に基づいて実施される。「EMIEW3」はこれまで駅や空港、商業施設等での運用が主で、医療現場での説明業務にフォーカスした研究は今回が初めだという。NCGMと日立は、昨年9月に連携協定を締結し、「次世代型外科手術室の開発」、「働き方改革の推進」、「先端技術を活用した医療現場の改善」を進めている。

そして両者はこの度の研究を通して、先端技術を活用した「働き方改革の推進」はもとより、ロボットと人間が調和した未来の医療機関における、よりきめ細かな患者への医療サービスの提供をめざしていく構えだ。