「新しい乳がん検査器"マイクロ波マンモグラフィ"の実用化に向けて」

乳がんの早期発見のために用いられる「マンモグラフィ」は近年、X線被爆を減少ないし回避する装置・手法が研究開発されている。陽電子放射マンモグラフィはそのひとつであり、また、マイクロ波マンモグラフィはX線被爆がないうえに、X線で撮影できなかった腫瘍を判別できるとして期待されている。

今月13日、凸版印刷と、神戸大学発のスタートアップ企業IGSは、微弱なマイクロ波を使用した乳がん検査「マイクロ波マンモグラフィ」の実用化に向け、器材開発での協業に合意したことを発表した。凸版印刷からIGSへの出資も含め、検査の際に必要となる乳房表面座標シールを提供していくとともに、今後の研究開発においても両社の連携を強化していく。

ISGは神戸大学数理データサイエンスセンターの木村建次郎教授および木村憲明博士が2012年に設立。同教授らは、"波動散乱の逆問題"を世界で初めて解析的に解くことに成功し、その研究成果を基に高精度かつ瞬時に3次元画像を再構成する、マイクロ波マンモグラフィのプロトタイプ機を開発、その実用化に取り組んでいるという。

凸版印刷は、重点的に取り組むべき成長領域の1つ「健康・ライフサイエンス」において、薬や医療用の包装材、医薬品ラベルの製造、遺伝子解析システムの開発など、医療の世界を支える先進的なテクノロジを、印刷技術をベースに発展させ創出してきた。直近では、センシング技術を用いた高齢者の見守りサービスの提供や、健康・地域・観光資源を結びつけた健康増進プログラムの開発など、健康長寿社会の実現に貢献している。

そして今回、同社がISGに提供する上記座標シールは、マイクロ波マンモグラフィの測定に用いる部材であり、計測データをもとにした両側乳房の3次元構造の立体映像と、実際の生体表面の位置を対応させるために、マイクロ波を送受信する機器(プローブ)を動かす参考座標として使用されるものとのことだ。