インドネシアの植林事業、日本の準天頂衛星"みちびき"を活用する

近未来の産業・社会において、cm級の精度を有する衛星測位システムが必須となる。今、日本の遙か上空で8の字を描くそれは4機、そのうち3機はアジアオセアニア地域からも常に見られる。

米国のGPS情報を補いGPSとの一体運用が可能な高精度測位システムQZSS、準天頂軌道衛星「みちびき」は日本全国各地での無人自動運転支援サービスの実現(官邸PDFより)が見込まれる'24年に7機体制での運用が予定されている。現在でも、さまざまな事業分野で利活用事例が報告されている。

9月13日、総務省から低緯度地域における「みちびき」技術の実証を請け負った日立ソリューションズは、丸紅日立製作所とともに、インドネシアの広大な植林地の一部を対象に、高精度測位技術の適用可能性に関する実証実験を2か月間行うと発表した。伐採計画立案を支援する営林システムにおいて、最新のITを活用して樹高の測定精度の向上を図り、伐採計画立案の効率化やオペレーションの最適化をめざすという。

南スマトラ州内の約30万ヘクタール(丸紅子会社MHPが植林事業権)では、場所ごとに降雨量や土壌環境が異なり、植栽・除草タイミングなどによって樹木の成長度合いが変化――。MHPは製紙パルプ工場への安定的な原料供給のために、毎年数か月掛けて、営林システムで抽出した約1万か所の調査地点で、目視によるサンプル調査を行い、植林の成長量・収穫量を予測し、伐採計画を立案している。

そこで今月より、「みちびき」を活用し、樹高の測定精度を向上させ、より効率的な伐採計画を立案する――。実証実験のしくみは、日立の高精度測位技術と日立ソリューションズの「GeoMation」で構成され、①「無人航空機に光学カメラを搭載し、樹木の天辺の高さを計測」、②「トラクタに高精度測位信号受信機を搭載し、地面の高さを計測」。広大な植林地全体で、①ー②による樹高を求めるという。