工作機械業界を横断する、ユーティリティクラウドを共同開発

顧客ニーズの多様化により市場環境がめまぐるしく変化する。近年、IoTやAIなどのデジタル技術を活用して、多くの企業が、競争力強化とイノベーションの実現に取り組んでいる。先進諸国では「第四次産業革命」が進んでいる。

そのような中で、製造業が国の産業構造を支える(経産省'15年版「ものづくり白書」より)。日本の競争力は徐々に低下している。国内の工作機械業界では、各社が得意分野を活かした役割を担い、安定したビジネス環境を維持してきたが、今後、グローバルで競争力を高め、革新速度を増すには、最新デジタル技術の活用が急務であり、保守診断などのサービスや業務の効率化などに用いるデジタル基盤を共通化すべきである。

工作機械業界全体でそれらをデジタル化し、土台をユーティリティ化することが重要だという。ファナック富士通NTT Comの3社は、「デジタルユーティリティクラウド」構想を実現するサービスを共同開発していくことに合意。同業界内で重複している社内業務の効率化と、顧客サービスの高度化を目標に、デジタル革新を加速させる。同業界各社が共用できるクラウドサービスの開発に取り組み、そのデファクトスタンダードを目指すという。

同サービスでは、工作機械の稼動状況などの設備データ、モバイル機器等で収集される作業ログなどの人的データ、そしてマニュアルや仕様書などの静的データをセキュリティ基盤で管理し、安心安全に利用できるしくみを提供する。集約データを目的別にAI分析する、ユーザー各社は社内業務コストや開発リソース低減、顧客サービスの高度化が見込め、注力すべき領域へ予算や開発リソースを集中できるようになる。

アプリストア機能も提供する予定だという。3社は、同サービスを工作機械業界のエコシステムとして、来年4月から順次提供――。JV(合弁会社)の設立も視野に「デジタルユーティリティクラウド」を推進していく構えだ。