簡単IoT、離れて暮らす親を近くに感じながらの見守りに

モノのインターネット(IoT)技術の導入が様々な分野で盛んになっている。それは産業設備や業務のデジタル化のみならず、家庭、医療・ヘルスケア、社会インフラのデジタル変革でも活用されつつある。日本では今、超高齢社会への対応が急務だ。

内閣府の「令和元年版高齢社会白書」によると全国の高齢化率は28.1%。高齢者の「単独世帯」「夫婦のみ世帯」が全体の過半数を占めていて、65歳以上の独り暮らしが増加傾向にある。現役世代に向けて「働き方改革」が叫ばれているが、同白書が示す事情は、そもそも「働き口」が都市部に集中していることと無縁ではなく、遠くで働く子どもだって、親の健康と暮らしを心配していないはずがない。

そこで九州電力は、IoTを活用した見守りで高齢者の健康維持を支援するサービス「こねQと」のパイロット事業(概要PDF資料)を開始。今月10日から申込みを受け付け、17日からサービスを提供する。「こねQと」は、離れて暮らす親を身近に感じながら見守ることができる、親の健康を願う家族向けのサービスだという。

情報通信技術IoTの導入は専門知識・技術が要りそうで敷居が高い。だが、「こねQと」のIoTは工事が一切不要で、センサーを壁に貼り付け、コンセントを一つ差すだけ。高齢者でも簡単に設置できる。ドコモの3G回線を利用するので、ネット環境がなくても良い。宅内センサーで親の活動状況等を検知し、家族がスマホ/専用ウェブサイト経由でその時々の室温や人の気配等のデータを確認できる。

起床など日々の生活状況や、熱中症リスクなどの異状を知らせるメールを受けることもできる。家族同士をつなぐサービスは、「誰もが安心して生活できる九州」の実現を目指して、IoTで「がんばらない介護」を支援するZ-Worksと共に検討をおこなってきたものだという。九電は今回のパイロット事業の結果を踏まえて、同サービスを本格展開する考えだ。