英国の鉄道会社にて、日本の"Society5.0"技術を活かす

未来社会について、日本は第5期科学技術基本計画において「ソサエティ5.0」を提唱した。それはサイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会だという。

内閣府Webにその概要が解説されている。一方、かつて工業社会を主導した英国では、鉄道事業の民営化以降、列車運行とインフラ管理が別ビジネスとなり、かつ複数社が同じ線路インフラを利用してサービスを提供していることから、運行計画作成業務がとても複雑になっている。そしてまた昨年5月に発生した大規模な鉄道遅延問題を受けて、より正確な鉄道運行への国民の期待も高まっているという。

東芝デジタル&コンサルティング(TDX)は、三井物産出資の英鉄道会社Greater Angliaと、同国東部の鉄道運行事業において、サイバー・フィジカル・システム(CPS)技術を活用した運行計画作成プロジェクトに取り組んでいくことで合意した。同プロジェクトでは、デジタルツイン技術を活用して運行計画の策定を支援。より強力・強固な計画の作成を実現し、運行パフォーマンスと、顧客利便性のさらなる向上を目指すという。

従来個別管理されていた線路インフラ、車両性能、タイムテーブル、各種規制やルール等のデータをTDXがデジタル化して整理、集約した上で、サイバー空間にリアルな列車運行環境を精緻に再現。デジタルソリューション提供のTDSLをはじめ東芝グループの技術を基にした各種シミュレーション、モデリングエンジンを活用して、運行計画の分析、各種条件下でのシミュレーションを実施し、GA社に新しい知見を提供する。

さらに、東芝RDCとTDXが共同開発した新手法を導入して、遅延リスクを評価。これによりGAは、列車遅延リスクの低減を実現しつつ、顧客の利便性と満足度の向上、経営効率の改善につながる運行計画の策定を進めていく構えだ。