営業上の様々なリスクを分析、一挙に把握するSaaSアプリ

営業活動、とりわけ販売取引においては、滞留債権などのリスクの発見の遅れが問題となる。架空売上の計上や、水増し発注など、不正も起こりえる。

上述のようなリスクに対し、その兆候が現れた時点で適切に把握し迅速に処置するためには、全取引や販売活動の網羅的かつ適時の分析が求められる。しかし多くの企業では、営業部門ごとに販売分析レポートが大量に存在することから、その実行には課題があったという。デロイトトーマツグループのトーマツはSaaS型の「Risk Analytics on Cloud」に販売分析アプリを追加して10月より提供する。

同アプリにより、日々の営業活動、特に販売活動に関するリスクについて、網羅性、適時性、効率性をもった把握が可能になる。毎日収集される販売データを網羅的に分析することで、効果的かつ効率的にリスクの兆候を捉えられる。上記クラウドに販売活動データをアップロードするだけで、約20通りのリスクシナリオを基にスコアリングが行われ、リスクの高い取引、部署、担当者、取引先がランキング形式で表示される。

リスクシナリオは、これまでのトーマツの経験と知見に基づき設定された営業・販売に関するものであり、データのアップロード先は同社が一昨年末に発表した国内監査法人初のSaaS――プライベートクラウド「Deloitte Analytics Cloud」上に企業のニーズにあわせてカスタマイズした子会社、経費・労務、購買用のユーザーアプリが用意されている。

そして今回の販売分析アプリでは、販売管理における不正や人的エラーを発見することで、営業・管理・経理・内部監査部門における不正発生の抑止、リスク兆候把握の正確性の向上が見込まれる。内部監査では、効率性アップに加え、一部データのサンプリングから全件分析が可能になるためモニタリング業務が高度化、コーポレートガバナンスの強化が望めるという。