プロ・アマ問わずさまざまなスポーツにおいて、その上達は専門知識を有する人の存在と指導とにかかっている。正しい指導による動作トレーニングが有効であり、それは怪我の防止や選手の育成、選手寿命の延長に不可欠とされている。
しかし近年、教育現場では教師の不足や競技ニーズの多様化を背景に、本格的なスポーツ経験のある教師が減り、適切な指導が難しい状況になっている。また、超高齢社会の到来により増大する医療費の適正化に向け、生活習慣病の予防を目的に自治体などが健康維持のためのスポーツ活動を推進しているが、高齢者においても怪我の予防や効率的な身体機能改善に繋がる正しい指導が重要だという。
凸版印刷と日本体育大学は、世界初となるトップアスリートの動作解析データを基に個人に合わせた最適な動作トレーニング法を提供する「標準動作モデルを用いたループ型動作トレーニングシステム」の共同研究を開始する。これにより、子どもから高齢者まであらゆる世代におけるスポーツ愛好者や競技者の運動能力向上と健康増進の実現を目指す。
共同研究では、日体大大学院体育科学研究科の阿江教授が開発したスポーツバイオメカニクス的手法による標準動作モデルと、経験豊かな指導者が持つ運動者の特性に応じた指導方法とを統合し、各種スポーツ動作の模範的動作を習得する動作トレーニングメソッドを構築する。データベースに蓄積された標準データに基づき、凸版印刷が持つ先端表現技術を活用したループ型動作トレーニングシステムの開発を行うという。
ループ型とは、トップアスリートの動作解析データと運動者の動作を比較し、改善点を指導者がアドバイス――そのアドバイスをもとに動作を修正し、試技を繰り返すことで、最適かつ効率的に動作の改善などを実現する手法であり、今回の両者の取り組みは、9月10日~12日開催の「日本体育学会第70回大会」凸版印刷ブースにて紹介される。