"デザイン思考"を用いてトップリーグ選手の故障を予防する

KeiやNaomiのゲーム運びをみながら「勝って!」と願い、怪我がないようにと祈ってもいる。スポーツ選手は体の故障を未然に防ぎ、たとえ故障しても重症化しないよう、定期的に身体の状態を評価・分析し、負傷リスクを最小化することが求められる。

団体スポーツでも、選手のコンディション管理やケガ対策は専属のアスレティックトレーナー(AT)を中心に行われている。が、一人の選手を多彩なプロが支えるテニスと違い、多数の選手をようするスポーツチームでは、一人ひとりの全身の状態把握は難しい。それには多大な時間、複数ATの配置などを要する。そのうえATの判断に個人差があり、ノウハウの数値化や均一化に課題があったという。

NECはラグビートップリーグのリコーブラックラムズと、選手の身体コンディションを日々把握・管理してケガを予防するために「フィジカルチェックシステム」(参考記事)を活用する実証実験を行っている。AT業務を支援する同システムはNECのデザイン思考フレームワークに基づき事業開発し、筋力・関節可動域データとコンディション不良に関するデータを蓄積――痛みやケガの発生との相関分析を行い、今年度内に実用化される見込みだ。

クラブハウスに設置したKinect等を用いるフィジカルチェックシステムで選手の映像分析を行い、日々の身体コンディションチェックを行う。選手自身が約3分で計測する、結果は彼のスマホ等に表示される。監督、コーチ、ATなどのチームスタッフは選手の計測・評価データを閲覧でき、選手のコンディションや改善が必要な箇所の把握・処置の強化などを行う。

試合の前後など時と場合に応じて詳細にコンディションを把握し、改善を支援する。システムはVリーグのNECレッドロケッツでも実証中。関節可動域と選手の感じる痛みとの相関や、選手の状態に応じて最適なトレーニング方法を選択するなど、効果を発揮しているという。