「日本人は65歳を節目に、働き方や暮らし方の意味を変える」

生産年齢人口が急速に減少する日本では、女性や外国人とならび、高齢者の就業機会の拡大が重要である。と言うは易く行うは難し、定年延長・再雇用の議論だけでは解決できない課題が山積しているのが実情である。

意識や価値感、求人側の課題、働き方・就業形態の3つの「多様性」が複雑に混在している点が、高齢就業者ならではの特徴であり、「多様な働き方」を支える環境の整備こそが必要になるという。NRI社会情報システムは、全国の55~79歳の2,000人にアンケートを行い、就業意識を軸に生活行動や満足度、ICT(情報通信技術)活用状況等について分析した。

NRI「TrueNavi」によるアンケート結果から、「シニア世代の就業・行動は65歳が転換点」だとした。定年延長・再雇用が定着した現在、同年齢がライフスタイルや価値観の大きな転換点となっている一方で、人生100年を視野に入れ、70歳を超えても働き続ける目標を持つ人も増加している。65歳を超えると男女間にもさまざまな就業・行動の違いが見られる。

65歳未満の正社員もパート・嘱託も平均して70歳頃まで働きたいと考えている。60歳未満でパート・嘱託で働く人の約3割は「健康である限り」長く働きたく、60歳を超えると70歳を現実的な目標にするなど、年齢とともに就業意識に変化が見られる。ホワイトカラーは現役時代のスキルや経験に拘り、生きがい・自己実現を求めてフルタイムで働き続ける志向が強くなっている。

50・60歳代後半では、就業状況を除く全分野で満足度が年齢とともに上昇。特に人や地域社会との関係性で満足度の向上が目立っている。そしてSNSの中でもLINEだけが唯一シニア世代の利用が急増――。ICT活用シニアは、コミュニケーションや情報収集の活発化を通じて、満足度の高い生活を享受しているなどという、分析結果の詳細レポートはNRIウェブサイトからダウンロード可能だ。