情報通信
「南極は昭和基地で"持続可能な住宅システム"を構築。月のうえにも」
宇宙空間の有人拠点には「簡易施工性」、「自然エネルギーシステム」、「センサー技術を活用したモニタリング」等の技術要素が求められる。これらは南極という環境下においても要求される。共通点について、極限の環境下で検証することにより、技術の信頼性が高められるという。
JAXA、国立極地研究所、ミサワホーム、ミサワホーム総合研究所の4者は、極限環境下での「持続可能な住宅システム」の構築を目的とした実証実験を、南極・昭和基地で来年2月より実施する。地上における未来志向の住宅や、月面等の有人拠点への応用を目指してその共同研究を進めてきたJAXA・ミサワホーム・ミサワ総研による「南極移動基地ユニット」が、南極観測船「しらせ」で輸送され、上述の技術要素等について検証される。
かつて、JAXAの「宇宙探査イノベーションハブ」研究において、「建築を省力化する工法技術」と「住宅エネルギーの自律循環システム」の開発による「持続可能な新たな住宅システムの構築」が提案・採択された('17年ニュースリリース)。そして今回、昭和基地の運営を担う極地研が実施する「第61次南極地域観測隊の公開利用研究」における「極地における居住ユニットの実証研究」にて、その構築を目指す。
南極移動基地ユニットでは、限られた期間に隊員が容易に施工できる治具等の実効性を含めた「構造物の柔軟な拡張・縮小」、太陽光発電と集熱蓄熱システム等によるユニット内部の「エネルギー利用の最適化」、温湿度・CO2・火災検知など、居住者の安全を見守り居住空間の快適性をはかる「センサーを用いたモニタリング」といった項目が検証される。
実験終了後、同ユニットはドームふじ基地に輸送され、第3期氷床コア掘削プロジェクトの居住空間として利用。今後の南極での基地建設にも活かされる。共同研究の成果は、地上における未来志向の住宅、月面有人基地の展開にも応用されるという。