少子高齢化という社会的課題を背景に、様々な業種及び労働現場で人手不足が問題となっている。団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になる'25年度末までに約55万人、年間6万人程度の介護人材の確保が必要だと推計されている。介護業界では今、人材不足が深刻な課題だ。
厚生労働省がまとめた「第7期介護保険事業計画に基づく介護人材の必要数について」において、上述の数字すなわち懸念が示されている。そこでこれまでの3年間、市販化された介護ロボットを導入するなど、介護業務の生産性向上に積極的な取り組みを行っているという。ミサワホームグループのマザアスは、同社が運営を担う介護付き有料老人ホーム「マザアス南柏」にて、ロボティクスを活用したケアサポートシステムの実証実験を開始する。
トヨタ自動車の未来創生センター(参照:'16年新設ニュースリリース)が研究している認識技術など、パートナーロボットで培った知見を活かす。今回の実験では、同技術を用いて介護スタッフが必要な時に居室内の入居者の様子を遠隔把握でき、スマホアプリで全スタッフの位置が見られることで、ナースコール発信場近くの介護スタッフによる居室内の状況を踏まえたサービス提供について検証する。
さらに、介護スタッフの移動履歴などにより介護日誌作成を半自動化するなど、事務作業削減の検証なども行う。これらICT(情報通信技術)の活用によって、業務負荷の大きい居室間の移動や記録入力時間の低減を図る。と同時に、情報共有の迅速化、遠隔からの入居者の状況把握を進め、夜間巡視など訪室の業務効率化を目指す。この度の取り組みを入居者のQOL向上にもつなげる考えである。
人材不足の解消と介護品質の維持、介護スタッフの負担軽減と生産性の向上にはICTが欠かせないという。マザアスは、様々な介護ロボティクス系企業と連係しながら、ICT介護プラットフォーマーの役割を果たしていく構えだ。