農業は、自然災害、鳥獣被害の影響を受けやすい。日本では低収益性、収益不安定、後継者不足などが課題となっている。国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」においても、小規模食料生産者の生産性と所得の増加は、解決すべき重要なターゲットの1つとなっている。
一方、近年の健康志向、環境志向ブームにより、消費者のあいだで有機作物の需要が高まっていて、有機農業への就農希望者や、それに取り組みたいと考える既存農家が増えつつある。有機栽培法のひとつ、JOFA代表の小祝政明氏が提唱する「BLOF理論」では、アミノ酸、ミネラル、土壌の3分野で科学的に営農――これにより、高品質・高収量な農作物の安定生産が可能だとされている。
BLOF理論の実践に成功している農家は所得向上を実現している。しかしそれには高度な専門知識とスキルを要する。有識者の十分なサポートなしに実践は難しく、特に、施肥設計工程においては、複雑な計算と調整を要することが課題になっていたという。小松氏が経営するJOAA(本社:長野県伊那市)とNTTコムウェアは、「BLOF営農支援サービス」の実証実験を8月上旬より行っている。
沖縄県在住のBLOF理論実践農家(10名)とJOAAのインストラクターが、トマト、ゴーヤ、マンゴー、パッションフルーツ等の生産を、同サービスを利用して行い、施肥設計機能および圃場管理機能の検証を実施する。手作業の施肥設計と比較し、これを活用した場合の作業時間、施肥設計の精度および画面操作性に加え、指導時間および指導レベルの検証も行う。期間は10月中旬まで。
科学的データを基に高品質・高収量を実現する「BLOF理論」のさらなる普及に向けて、容易に同理論を実践できるサービスの初の実用化をめざす。「持続可能な農業」の促進に貢献する、両社による「BLOF営農支援サービス」は「第6回 国際 次世代農業EXPO」にて披露される予定だ。