コンビニチェーンで廃棄食品を直回収、飼料に加工し畜産農家へ

国連食糧農業機関(FAO)によると、世界の食料廃棄量は年間約13億トン。人が食べるべき生産品の約3分の1を捨てている勘定になる。食品ロスは日本でも、農林水産省推計によると平成28年度に約643万トンが廃棄された。

FAOのPDF資料や農水省の公表値も含めて、令和元年7月に消費者庁が食品ロスの現状や対策等をまとめている(PDF資料)。大きな社会問題に対して、自社の流通販売チェーンでも食品ロスが年間約4.4万トン発生していることから、店舗で発生した廃棄食品を収集運搬会社が回収し、飼料や肥料とする取り組みを13年前に開始し、今年2月時点でこのリサイクルを約2800店で実施しているという。

ローソンは、三菱食品日本農産工業三菱商事と連携し、既存物流網を活用した新たな廃棄食品回収のしくみを実証する――実験を8月1日より都内3店舗で行う。その結果をふまえ、'20年度に関東エリア400店舗への拡大をめざす。今回の取り組みでは、店舗から回収した廃棄食品をローソン店舗への「商品納品後のトラック戻り便」を活用して、千葉県市川市にある三菱食品の物流センターに集約する。

その後、別の収集運搬会社がリサイクル工場に廃棄食品を配送し、工場で飼料に加工した後、これを日本農産工業を通じて畜産農家に提供する。ローソンでは従来、廃棄食品の収集運搬会社が店舗ごとのそれを直接回収し、リサイクル工場に配送していた。一方今回の取り組みでは、収集運搬会社を通さず、既存の店舗物流網を活用する。ゆえに新たな人員の手配が必要ない。

さらに、収集運搬会社が店舗に行く必要もないため、食品リサイクルの向上だけでなく、ドライバー不足の解消や、稼働トラック台数の削減によるCO2排出量低減に繋がると考えている。ローソンは今後も食品リサイクルや温室効果ガス排出量の削減を推進し、我々の世界を変革する国連SDGsの達成を目指していく構えだ。