ESGからみた企業の取り組み、その調査作業負荷を5割削減する

'06年の国連事務総長のアナン氏が提唱した。PRI(責任投資原則)は、環境への配慮・保護対策、社会的公正・貢献、独立かつ透明性の高い企業ガバナンス――つまり「ESG」を重視して投資先を選択する、機関投資家を中心に投資の意思決定プロセスを進めるべきというものだ。

財務指標に現れにくい「環境・社会・企業統治」課題に光を当てたイニシアティブについては、署名機関の国際的なネットワークと協力し、6つの責任投資原則を実施しているunpri.orgPDF資料で確認できる。今月2日、日本総研は、「わが国企業のESG側面の取組み調査」でのインターネット情報収集および文章抽出作業において、Laboro.AI社とともにカスタムAIソリューションを7月に導入したと発表した。

調査の作業量全体の約8割を占める情報収集の負荷が約5割削減できる見込みだという。同ソリューションは、20年間にわたりESG調査を続けてきた日本総研と、オーダーメードによるAI解決法を様々な業界に向けて開発してきたLaboro.AIが共同で開発したものであり、上記調査で使用する場合、評価までの流れは次のようなものだ。

①評価対象企業のWebから全文章をクローラーが抽出。②抽出文章をAI認識に適するよう品詞分解(形態素分析)。③それをテキスト分類エンジンに入力し、ESG評価項目への関連可能性(信頼度)を割り出し、スコア化。同エンジンはfastText(自然言語処理用AI)技術によって、教師データ (模範文)との類似性を照合し、判断。

④上記スコアの高い文章が一覧表として自動作成される。この表を基に各企業の評価を実施する、アナリストは、特色あるESGの取り組みを行う企業を発掘、紹介するなどの作業に一層注力することが可能となり、調査の付加価値向上により貢献できるようになったという。両社は今後も、有用な調査結果や評価の提供に努めていく構えだ。