いわゆるドローンに加え、それよりも一回り大きく、より大きな器材を搭載可能な無人航空機も近ごろ実用化が進んでいる。それらは農業分野などで利用が広がり、物流インフラへの展開、さらには災害時の物資運搬や遭難者捜索といった用途でも大いに期待され、運用数が増加している。
日本政府が主導する未来社会の実現「Society5.0」のアイコンにもなっている、無人航空機だが、ドクターヘリなど有人航空機とのニアミス実例(国交省航空局PDF資料)が報告されてもいて、衝突回避技術が安全利用のための喫緊の課題となっている。またその技術は、無人機の実用化に必要とされる「目視外飛行」および「第三者上空飛行」の実現に欠かせないものだという。
NEDOは、物流、インフラ点検、災害対応などの分野で活用できる無人機の開発を進めるとともに、安全に社会実装するためのシステム構築や飛行試験などを実施するプロジェクトを進めていて、運航管理システムと衝突回避技術の開発、国際標準化活動に取り組んでいる。7月25日、同機構は、相対速度100km/hでの中型無人航空機の自律的な衝突回避試験を世界で初めて実施したと発表した。
SUBARU、日本無線、日本アビオニクス、三菱電機、自律制御システム研究所とともに、福島県、南相馬市、福島イノベーション・コースト構想推進機構の協力のもと24日~25日、広域飛行空域において、カメラやレーダーなどを搭載した中型無人航空機が約40km/hで飛行し、正面から60km/h程度で飛行してくる有人ヘリを探知し、自律的に衝突を回避する飛行試験(システム詳細PDF資料)を行った。
今後このしくみを確立することで災害対応や物流などにおける無人機の実用化を推進。より小型の無人航空機への機能搭載を見据えた社会実装も推進する。この度の試験は'17年11月にNEDOと福島県が締結した協定に基づく取り組みの一環だという。