日本の最高学府は基礎研究領域において産学連携の取組みを多数行い、多彩な研究成果を生み出してきた。これらの研究成果の事業化を目的として、昨年末には経済成長に資する革新に効率的につながるオープンイノベーションプラットフォームを組織した。
東京大学国際オープンイノベーション機構により、これまで培った研究成果を事業化へ円滑に移行する仕組みが構築されたという。東京大学と、AGCは建築用素材の可能性を追求する寄付講座や、ガラス加工を軸に先端技術を創出する社会連携講座を開設。フッ素化学分野ではフッ素化学・有機化学・生命科学を超えた新領域開拓のための社会連携講座を開設するなど、多様な分野で長期的テーマの共同研究を進めている。
両者は、東京大学の研究成果展開とAGCの新規事業創出を目的として今回、双方の研究開発力を結集し、東京大学国際オープンイノベーション機構を活用した共同研究――同機構初となる大型共同研究プロジェクトを来月から開始する。さらに事業競争力を強化するため、技術成果や知的財産権の取扱いについて、これまでの産学連携の枠組みを超えた共同研究契約を締結したと、7月22日に発表した。
文部科学省オープンイノベーション整備事業の支援により発足した上記機構への参画に伴い、東京大学工学部浅野キャンパスにフッ素化学関連技術やガラスか交換連技術などの共同研究スペースを設立。そこへAGCから共同研究員を派遣し、組織対組織の連携を進めていくという。
日本の経済成長や事業競争力強化のため、産学連携を活用したイノベーション創出がますます求められている。東京大学とAGCは、企業との大型共同研究の実施を通じて大学の知識や技術から新たな社会価値を創出し、経済成長に資するプラットフォームを築く、東京大学国際オープンイノベーション機構による連携で、新規事業の創出を加速し、学術発展への寄与を目指していく考えだ。