関西の産学連携、"笑い"の効果を医学的に検証する

笑えば周囲が明るくなる。「そんなことないやろー」と返せる人はほぼ皆無だし、笑うことで健康長寿をめざす人たちは世界中にいる。が、日常の仕草でもある「笑い」は、その定義が曖昧であり、表情の評価が難しい。ゆえにその研究は難しいとされてきたという。

近畿大学医学部、内科学教室(心療内科部門)の研究グループは、吉本興業、オムロン、NTT西日本と、「笑い」を医学的に検証する共同研究を実施し、「笑い」の測定方法を開発するとともに、「笑い」がもたらす身体的及び心理的影響を解析した。2月15日から1ヶ月間、なんばグランド花月にて一般応募者20名へ計3回、2週間間隔で吉本新喜劇と漫才・落語を鑑賞してもらい、その前後で心理検査とアンケートを実施した。

観賞中には表情およびバイタルデータを測定した。今回の研究では"笑い"を、「コメディアンが参加者を笑わせられる状況を作り出して、参加者が笑ったこと」と定義した上で、表情をスコア化する方法を用いて笑顔を数値化(オムロン製HVC活用)し、笑顔と身体的・精神的指標(心拍数と呼吸の測定:NTT西日本)がどのように変化するかを調査した。

研究グループがデータを解析し、緊張・不安、抑うつ、怒り・敵意、活気、疲労、混乱の6尺度で参加者の気分・感情を測定した結果、性別でユーモアの解釈に差のあることが示唆された。男性組は緊張・不安と怒り・敵意のスコア、女性組は混乱のスコアの改善がそれぞれ認められた。「笑い」の度合いが高い人たちでは、「緊張・不安」「怒り・敵意」「疲労」の3スコアで、笑うことによる改善が認められたという。

今後は人が「笑い」を必要とするシチュエーションでの「笑い」の効果を検証する。よしもと公演の観客を対象に、笑いを求める状況(ex.就職活動中、悩みがある)をアンケートし、その上位となったシチュエーションに該当する被験者を集めて、「笑い」の効果を検証する計画だ。