農業×IT×運輸、新たな集荷場運用で生産者のビジネスを広げる

農林水産省の統計によると、この10年間で農業就業人口は約261万人から168万人へと減少を続けている。少子高齢化という社会的課題がその背景にあるにしても、日本の農業は持続可能なビジネスとして厳しい状況にあると言わざるを得ない。

そんな中でも、多くの生産者が懸命に、丹精込めて良質な農産物を育てている。それらが旬を迎えて収穫された際、都市部などの消費地に鮮度を保って届けるという。農業総合研究所佐川急便は、生産者直送農産物の販路拡大をサポートする取り組みとして、長野県須坂市に続き山梨県笛吹市においても、佐川急便施設を活かした農産物出荷用の集荷場を開設した。

両社は'17年7月から須坂市の佐川急便長野営業所を活用した集荷場運用を試行――地元生産者の販路拡大に一定の効果が見込めたことから、今年1月よりその本格運用を開始した。同様のスキームを展開できるエリアとして、7月1日より笛吹市の甲州営業所にても、新たに開設した集荷場で農産物出荷運用を始めたという。山梨県では、桃やぶどうなどの果物の出荷がこれから最盛期を迎える。

農業関連の経営ノウハウ、農産物のブランド化・6次産業化に係る創造力と配送ネットワークおよび温度管理された物流インフラによって、生産者のビジネスを支援する。長野営業所・甲州営業所の2カ所で、農業総合研究所が提供する農産物流通プラットフォームと佐川急便の集荷場を活用することで、生産者は販路の拡大により収入源の増加が期待できる。また、都市部の消費者は新鮮な農産物を安価に購入することが可能になる。

生産者が丹精込めて育てた良質な農産物を消費地に鮮度を保って届ける。収穫物を原則一日で店頭に並べられる。今回の取り組みは、中山間地域の農業・農村の活性化への寄与でも期待できるという。両社は、これからも、物流システム・ノウハウ、情報の共有化を図ることで生産者の流通展開の支援を強化していく考えだ。