人の流れをリアルタイムに分析・可視化、すばやい災害復旧を支援する

近年、この国では自然災害が相次いでいる。人口密集地でひとたび大規模な災害が発生すれば、直接的な被害のみならず、交通機能の麻痺や混乱によって、帰宅困難者の続出や人命救助の妨げ、救援物資の停滞、ひいては災害復旧の遅れといった二次・三次被害が起こりうる。

そのため、首都直下地震などの発生を想定して、内閣府PRISM(官民研究開発投資拡大プログラム)の「官民データ連携による応急対応促進」(防災科研PDF資料)では、震度分布の詳細化による早期復旧技術の開発が進められている。その中の一つ、「災害時における人の流れの把握や避難誘導等の効率化のニーズに基づく研究開発」について、ソフトバンクの100%出資子会社Agoopがこれを実施していることを1日に公表した。

同社は、防災科学技術研究所の委託を受け、「人流データ」を中心にさまざまなビッグデータを連携させ、リアルタイムで可視化するための分析システムの構築を行い、災害時における早急な復旧に向けたサポートができるよう取り組んでいるという。研究開発でのテーマは、「災害時における人の流れの把握や避難誘導等の効率化」、「平時・災害時の保守・点検の効率化」、「災害時における標準的な対応手順などの可視化」。

「被災地で今、何が起きているか」を把握し、避難経路・避難場所・物資の配給・人命救助・帰路の確保など、刻々と状況が変化する被災地から集まるビッグデータを、従来のように人間の手を介して処理することなく、空港会社や鉄道会社などに実装可能な、リアルタイムで高速かつ正確に自動処理できる分析システムのプロトタイプを構築し、効果を検証する。

事業計画や研究体制を伝えるPRISM防災専用サイトが同日公開されたという。Agoopは今後も防災・減災分野での位置情報ビッグデータの利活用にまい進し、価値あるデータを提供できるよう、災害プラットフォームの構築を支援していく構えだ。