安全運行のため、乗務前の点呼、乗務員の健康状態と勤務状況の把握、ドライブレコーダーによる運行記録管理など、様々な取り組みが行われている。バス業界では近年、新たな課題が浮き彫りになってきた。
「事業用自動車総合安全プラン2020」(国交省PDF資料)の"目標達成のため当面講ずるべき施策"では、「生体センサーやクラウド等を活用し、運行管理に求められる安全機能の強化、システム構築の簡素化・一元化等を実現した次世代運行管理・支援システムのあり方を早期に確立する必要があり、遠隔地での確実な呼気やアルコールチェックを可能とするICTを活用した呼気手法について検討することも必要」とされている。
そこで海部観光は、富士通マーケティングとともに、ロボットやIoT(モノのインターネット)など複数のICT(情報通信技術)を活用して、バス運行のさらなる予防安全の実現を目指した実証実験を7月1日より開始する。バスや乗務員に装着したデバイスから取得するデータと運行管理データを連携させ、危険予知の傾向を分析するという。期間は今月末まで。
運輸業界での導入実績やノウハウを活かして、富士通マーケティングがパートナー各社の機材やソリューションを提供するとともに、検証時に行う乗務員や管理者へのヒアリング、取得データの分析などを支援する。今回の実証実験では、IoTデバイス(眠気検知センサー、カメラセンサー)から取得するデータを、クラウド上で運用する運行支援システム(デジタルタコグラフとドライブレコーダー)に連携し、一元管理する。
画像を含む運行データをリアルタイムに取得し、危険予知訓練の効果検証およびバイタルデータ分析を実施する。両社はさらに、AI(人工知能)ロボットを活用した点呼支援システムにより、日々の点呼データをクラウド上で管理し、点呼簿作成までを自動化することにより、点呼業務の精度向上と効率化を図るという。