情報通信技術(ICT)の基盤である計算科学と他の学術分野との融合が進んでいる。近年、それは量子コンピュータや量子暗号に代表される物理学の応用であったり、生命現象と疾病の原因を探求する医学でのICT活用であったり、有機物を研究する計算機化学であったりする。
6月27日、NTTは、NTTグループ中期経営戦略「Your Value Partner 2025」(PDF資料)の中で、スマート・ヘルスケア実現への貢献を目標に掲げていて、その中核となる医療健康分野における先端ICTを駆使した研究開発を加速する、そのために来月1日、NTT研究所内に新たな研究組織を発足すると発表した。
海外の研究開発拠点であるNTT Research, Inc.内に発足予定の生体情報処理研究所――Medical & Health Informatics Laboratories(MEI Labs.)や、予防医療などを推進するNTTライフサイエンス等の事業会社とともに医療健康分野の研究開発を牽引する組織として、「バイオメディカル情報科学研究センタ」を設立する。
バイオメディカル情報科学研究センタは、生体センシング技術、診療情報や行動情報等の分析技術等に関する基礎研究、要素技術研究、およびパートナーとのコ・イノベーションを推進する。新たなセンシング技術によって取得したデータや診療情報等から得られた分析結果等のデータに基づき、病態生理を理解し、医師・患者による治療を支援するデータ駆動型の医療の実現を、様々なパートナーと連携しながら目指していく。
研究を進める際、メディカルサイエンス事業を支えるフォーメーションを組む。NTTグループの病院やMEI Labs.と、課題や研究動向等の情報を共有し、各事業会社とも連携を図る。大学病院や医療機関等との協働を強化し、医学的な知識も持った人材の育成についても努めていくという。