歩くときの足裏の特徴を評価、動ける体づくりに活かす

超高齢社会となった日本において、生活の質の向上、健康維持・増進、健康寿命の延伸に貢献する取り組みは、重要なテーマのひとつである。最近では、運動だけでなく、日常の生活活動(からだを動かすこと)を含めた全般的な「身体活動」が肝心だとわかってきたという。

花王は、乳幼児用紙おむつの開発に係る研究をベースに'10年から、高齢者の歩行機能低下に対して、ヒトの"歩く"特徴を科学的に解析して数値化する研究を積み重ねてきた。結果、動ける体づくりには、「歩行の量」と「歩行の質」を向上させることが肝要であることがわかり、歩行の特徴が測定できる身体活動量計および歩行測定・解析システムを開発した。これらのシステムは、地域、職場、学校などへ提供されているという。

そして今月26日、東京医療保健大学医療保健学部医療情報学科と、同社パーソナルヘルスケア研究所の共同研究グループが、歩行時の足圧を測定・データ解析する技術「足圧総合評価システム」を開発したと発表した。同システムは、シート式圧力センサーを活用して足圧データを取得。歩行時の足指面積率を算出するほか、足型判定の結果から、ヒトの"歩く"特徴を解析する。

総合評価技術は、足指面積出力システム、足型判定システム、足圧評価システムで構成されていて、たとえば、20~90代の3,324名(女性1,771名、男性1,553名)を対象とした足指面積出力システムによる歩行測定・解析では、足指面積率の性・年代別の変化を検討した結果、男女とも70代以降で、足指面積率の有意な低下が認められた。

さらに、女性高齢者126名(平均年齢:83.2歳)を対象に、直近1か月間での転倒有無で足指面積率を比較した結果、転倒あり群で有意な足指面積率の低下が認められたという。同社の研究内容は、足型判定システム、足圧評価システムでの実証データも含めて、第61回日本老年医学会学術集会にて披露された。